グレゴールという東欧系の名前は、「毛皮のヴィーナス」の主人公セヴェリンの奴隷名でもあり、
またカフカの「変身」で虫になった主人公をも想起させる。

このグレゴールと署名のある16点の作品に私は魅了され、同時に作品群の謎に翻弄されつづけてきた。
「奉仕の訓練」と英文で標題が書かれた1ページ目の画像(下図参照)もある。はたして英文の標題が
オリジナルなのか誰かが手を加えたものなのか、信憑性の判断にも(15ページ目の背景図には英文
らしき文字もあるのだが)躊躇している。手描きのノンブルに沿っての一脈の流れはあり、空想の物語り
を紡ぐことはできるが、明瞭なストーリーは感じとれない。本なのであろうかシリーズ画なのだろうか。
'50年代の作品と説明しているサイトあり、作者はドイツ人と推測しているサイトありだが、いずれも
そう断定推測する根拠がいまひとつ不明なのである。その先を確認すべきすべがない。画家のペンネーム、
標題、作品年代と、これほどの明確な手掛りがあってなお作品群の実体は幻なのである。

エキゾチックな香りが漂う独特の画風は、貴婦人ドミナの纏った衣装によるものであろう。
アラブとスラブの文化が融和したカフカス地方らしき雰囲気であろうか。描き分けられた衣装の細部に、
貴婦人崇拝に付帯するフェティシズムへの精通が窺える。ロングドレス、ストッキング、ペチコート、
ピンヒール、ロングブーツ、乗馬ズボン、長手袋、毛皮、そしてこれらに鞭が添えられた姿こそ、
女性が最高度に神々しく輝くことを、画家は熟知しているのである。


Trained to Serve


[ENGLISH]








美術館本館には、現在16点のグレゴールが描いた[FemDom-MaleSub]作品を展示しています。


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